一日天下も首位は首位。最高のスタートを切ったハダースフィールド


'We are Top of the League'

現地時間午後4:40ごろ、首都ロンドンにあるセルハースト・パークでは、200マイル(約320㎞)以上離れた町から駆け付けたアウェイサポーターたちが「俺たちがリーグ首位だ」と、声高らかに歌っていた。

今シーズン、45年ぶりにイングランド1部リーグでプレーする、ハダースフィールド・タウンFC(以下ハダースフィールド)が、クリスタル・パレス(以下パレス)との開幕戦に3-0で勝利し、一時的に首位に立った。翌日マンチェスター・ユナイテッドに、首位の座を奪われることになるのだが、これ以上ないスタートを切れたことに間違いはない。

現リヴァプールの監督、ユルゲン・クロップの愛弟子であるダーヴィト・ヴァーグナー率いるチームは、この試合で、相手への厳しいプレスと、ダイナミックながら精確なボールポゼッションを披露した。各選手にスタミナが必要なスタイルだけあり、この日のスターティングメンバーの平均年齢は24,9歳と非常に若く、最年長の選手(クリス・レーヴェとヨナス・レッスル)でも28歳だった。

昨シーズンの低迷から、監督にフランク・デ・ブールを招聘し、心機一転、今シーズンに臨むタレントぞろいのパレスを相手に、臆することなく果敢に攻めるハダースフィールド。その姿勢は意外な形で実った。前半23分、左からのコーナーキックを得ると、アーロン・ムーイがキック、ニアサイドに走りこんだクリストファー・シンドラーが頭でフリックし、ファーサイドで待っていたマティアス・ヨルゲンセンが触ったボールが、パレスのDFジョエル・ウォードに当たりゴール、オウンゴールで先制に成功する。

先制点の熱が冷めやらぬ26分には、敵陣左サイドでのスローインから、クリス・レーヴェが相手DF2人をひきつけ、サイドに流れてきていたアーロン・ムーイにパス、ムーイがフリーであげたクロスボールに、中央でスコット・ダンのマークを外した、スティーブ・ムニエが豪快なヘディングでネットを揺らした。

後半60分すぎから、疲労の色が見えはじめ、相手ボールホルダーへプレスに行けないシーンが見られるようになったが、78分にダメ押しの3点目を決める。ヨナス・レッスルのゴールキックを、見誤ったのか、パレスDFが誰もつかずにフリーのコリン・クアナーにボールが渡り、そのままペナルティーに侵入、このプレーの直前に交代出場したばかりのジェイムズ・トムキンズのマークを外したスティーブ・ムニエに横パスを入れ、ベナン人ストライカーは、それをワンタッチでゴールニアサイドへ沈めた。

「クリスタル・パレスはクオリティのあるチームだから、今日のパフォーマンスに文句はない。とっても幸せだよ。」と、試合後にクラブの公式サイトに語ったヴァーグナー。彼の言う通り、できすぎな結果と内容だった。

「トランジションがスムーズだったし、ハイプレスが機能してゲームプラン通りにプレーすることができた。」とドイツ人監督が言ったように、試合を通じて相手のボールホルダーへプレスをかけ続け、特にセンターバックのクリストファー・シンドラーとマティアス・ヨルゲンセンは、後ろ向きの選手や縦パスに対しては、ファールぎりぎりの激しさでボールを獲りにいっていた。

攻撃の場面では、両サイドバックが高い位置で幅を作り、多くの場合フィリップ・ビリングがポジションを下げ、両センターバックや、運動量豊富なアーロン・ムーイとケイシー・パーマーとパス交換をしながら、前線へボールを配給する。

ヴァーグナーが「彼にとってとてもいい日になったね。彼はハードワークをいとわない素晴らしい選手。ゴールスコアラーとしては珍しいよ。」と、称賛したのは、クラブ史上最高額の移籍金で今夏モンペリエから加入した、スティーブ・ムニエ。190cm,80kgと体格もよく、強くて速い。その上、この試合で記録した2ゴールともがそうであったように、ボールを受ける前の相手を外す動きが巧みだ。自分が敵陣でボールを奪われた後、自陣ペナルティーエリア付近までボールを取り返しに走る姿勢もみせた。

そして、そのムニエとすでに相性のよさそうなところを見せたのが、トーマス・インス。左サイドにポジションをとるスピードスターは、幾度となく、ムニエが相手DFと競り合った浮き球のこぼれを狙って、ダイアゴナルに走りこんでチャンスをつくっていた。ゴールを予感させるシーンも多く、黒人としてはじめてイングランド代表のキャプテンを務めた、ポール・インスの息子がブレイクする日が、ついにくるかもしれない。

次節対戦するのは、昨シーズンともにチャンピオンシップで戦ったニューカッスル・ユナイテッド。イングランド屈指の熱狂的なサポーターを持つ北部の雄は、開幕戦でトッテナムに惨敗。勝ち点を獲れなかっただけでなく、この試合で退場したキャプテンのジョンジョ・シェルヴィーが次節出場停止のうえに、スターターのディフェンダー2人を怪我で欠く、厳しい状況。開幕戦のような闘いができれば、ハダースフィールド有利は堅いだろう。

「次節、クラブ史上初のホームでのプレミアリーグの試合が待ちきれないよ。」と語るのはヴァーグナー。ハダースフィールドサポーターも同じ気持ちだろう。それに、もしかしたらあのチャントを再び聞くことができるかもしれないのだ。

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